自治体首長対談

にっぽん子育て応援団公式サイトリニューアル企画
「自治体首長対談 子育てするならわがまちで!」

にっぽん子育て応援団公式サイトリニューアル企画<br />「自治体首長対談 子育てするならわがまちで!」

2014/09/16

流山市長・井崎義治さん VS
       文京区長・成澤廣修さん

聞き手:安藤哲也 にっぽん子育て応援団団長



対談日時:2014年2月4日(火)
場所:文京区役所



急増する保育所ニーズに異変あり
バリキャリか ゆるキャリか


安藤   :文京区、流山市ともに子育て支援策でいろいろと努力されて人口も増え、子育て家庭にとってみれば住んでよかったと思う街のイメージがあるんじゃないでしょうか。今日は初対面ということですが、その特色といいますか、ビジョンをお伺いできたらなと思います
先ずは両自治体の子育て支援策ということで今年度力を入れている事、それによる成果などをお話しください
流山市長:

流山は、この先一気に高齢化が進み財政困難になり市民サービスも維持できないという事がわかっています。そこで若い世代、子育て世代の方々に選んでいただける街づくりを政策の中心に据えています。そのなかでも中心になるのが子供の環境、子育ての環境の充実と教育環境の充実です。
流山市はもともと家族構成としては専業主婦のいるマイホームタウンでしたが、TXができてDEWKS、共働きの子育て世代を取りこもうと力を入れた。共働き世帯がマンションの契約をする際に必要なのが駐車場より保育園という状況なので、とにかく保育所をつくる、また通勤途中から外れると保育所がないのと同じ状況になってしまうので駅前送迎ステーションを創るなど、とにかく共働きの方が他の街と比べた時に流山に住みたいと思っていただける街づくりをしています。

安藤   :HP見ると、もういきなり「母になるなら流山」というキャッチーなフレーズがでてきますね。
文京区長:

駅にも大きなポスターが貼ってありますよね

流山市長:

3月に次の「母になるなら流山」ポスターができます。新しく入ってくる方に向けて、モデルチェンジしてPRします。

安藤   :

まちづくりをするイコール共働き家庭を取り込む、これは市長のアイデアですか?

流山市長:

高齢者社会を回避する、人口構成を変えていくためにはマイホームタウンとして共働きを取り込む、それに伴ったインフラ整備をしていく。

安藤   :

TX(つくばエキスプレス)も通って、通勤時間も短くなったし、人口も……。

流山市長:

まもなく17万人。15万人くらいで長い間停滞していて、そのまま行くと人口減になりそうだったのが、TX沿線の中でも最も人口が増えています。

安藤   :

保育所も今24園で、来年度26園、最終的に35園に増やす。

流山市長:

4年前と比べると定員数は7割増。これから2年間でさらに4割増やす予定。地域によってはコンビニよりも保育所が多いというのを目指しています。

安藤   :

文京区のほうは……。

文京区長:

文京区は街としては成熟しきっており、業務地化が進んでいって、バブル崩壊、地上げ等々の要素が重なり人口がどんどん転出、という感じでマイナス指向の街でした。業務地化が進んで人口16万5000人まで落ち込んだんですが、印刷・製本会社が廃業または工場を郊外に移転した空地に、都心回帰の波を受けてマンションが建ち始めた。今、外国人含め20万人まで人口が回復しています。とはいえ高齢者数は確実に伸びていて、今年に入って65歳以上は4万人超えました。
私が区長になったのは平成19年ですが、その年にワンルームマンション規制を強化した。実際に文京区に住んでいない人たちが、投資目的でワンルームマンションを買って貸す。誰が住んでいるかわからない物件が増えてきた。当時23区のなかで一番厳しいマンション規制を作ると、ファミリーマンションが建つようになり、好循環を生む一つのきっかけになった。文京区でファミリーマンションを買う層となると、結局共働き世帯で、保育所の施設ニーズが増えてくる。当時東京都がやっていたのは認証保育所制度で、13時間は預かるけれども面積基準も配置基準も少し緩い。これは親のニーズとの間に明らかに差があるということがクリアにわかってきたので、20年に1園認証ができているが、私が区長になってからは認証は作ってない。基本的に認可で、私立認可園の誘致で頑張っている。
保育所のニーズが増えていても、半分は幼稚園ニーズで、就労意欲があり、パートに出たいという方々なので、区立幼稚園も午後6時まで預かれるようにして、パートの人たちのニーズにもある程度対応できるようにしたり、質と量の両方を狙う。保育所、幼稚園のニーズについてはそういう視点で動いている。

子ども・子育て支援事業計画を立てるためのニーズ調査で見えてきたのが、フルタイムニーズはフルタイムニーズで強いんだけど、働こうとしているもしくは今働いている人が必ずしもフルタイムのニーズだけではないということ。週3日なら週3日でいいんだ、別にフルタイム向けだけの保育所を増やしてくれなくてもこのままで……。
安藤   :

フレキシブルに働ければいいと。

文京区長:

ところがわれわれが供給しているものは入所判定を点数づけしているので、そういうニーズがすっぽり落ちてしまっている。待機児童解消をどこまでやるのか、というのはまた別の議論として、ある程度のところまでやったら別の就労モデルのための保育施設を作っていく必要がある。

安藤   :

そういう価値観の親のことを、ゆるいキャリアで「ゆるキャリ」志向、フルタイム志向が「バリキャリ」というんですが。ゆるキャリ・ニーズへの対応も必要になってきているのかもしれません。




待機しているのは子どもではない
誰が子どもを育てるのか?


流山市長:保育の質を考えた時にまずやらなければいけないのは量の確保で、量が足らない間に質の向上というのはなかなか議論が進まない。僕はまずは量を確保して質を上げていく。できれば保育を望まれる方が、いろんなバリエーションで預けられる。国が少子化対策をやろうというのであれば、そこまでやらないと効果は出てこないと思う
文京区長:

だけど親のニーズにどこまで応えるのか、というのはある程度国民的議論をしたほうがいいと思っていて、共働きモデルのために保育所の供給をしているんだけれども。

安藤   :就労支援としてね。
文京区長:

僕がよく言ってるのは「待機しているのは子どもではない。待機児童というのは日本語としては完全な嘘だ」。お父さんもお母さんも、働き方の見直しをすれば、例えば、育休を長期間とれれば、それが子どもにとっては一番いい形だ。
一日24時間しかないのに13時間保育抜いたら残り11時間。低年齢児はよく寝ますから、8時間寝たら残り3時間。送り迎え30分ずつで残り2時間。子育ていつやってるんだ? そんな仮に2時間しか子どもといられないモデルを増やして、そういうモデルに対応していく社会を作るんですか? それとも働き方の見直しをしっかりやってワーク・ライフ・バランスを考えたうえで、多様な保育に対応していく社会を作るんですか? 今後目指していくところを議論しないで、13時間保育で待機児童を0にしましょうということで今後本当にいいのか?
今のところ必要に迫られて待機児童対策だと重要課題として量の確保をやっているけど、これで今後の子育てはいいのか、というのはあると思う。

安藤   :

流山市長、お二人育ててらっしゃいますが、今の意見はいかがですか?

流山市長:

一人目が生まれた時はアメリカで、永住権をもって生活していたので、アメリカ的な生活をしていた。それほど野心を持ったタイプではなく、早く帰ってきて夕飯を食べて、子どもと遊んだ。妻と私とふたりで子育てした、という記憶がある。ところが次の子は日本に帰ってから生まれたので、週末しか会えませんでした。
「アパルトヘイト」ではないですけど、どうして日本人が自ら家族を分離するような社会の仕組みを作ってしまったのかな、と思うくらいカルチャーショックというか、子育てとはなんだろう、と考えることが多かった。ただ、私も組み込まれてしっかり深夜まで残業していましたし、ひどいときは土日も出ていた。それはやらされて、というよりも自分で望んでやっていた面もある。

誰が子どもを育てるのか。今の日本には、選択肢を作ろうという会社もありますけど、まだ「ついてこれないならうちはいらないよ」というタイプの会社がある。保育の量の確保は直近の直面している問題で優先順位を高くやらなくてはならないが、ワーク・ライフ・バランスや生き方の選択肢を幅広く整えていく議論を、同時並行していかないと、いつまでたっても変わらない。そもそも家庭がしっかりしていないと社会は崩れていくと思うので。
文京区長:

社会の持続可能性からいっても、今の共働きモデルで子どもを毎日13時間も保育所に預け続けているのは必ず行き詰まると思っています。私は40過ぎてからの子どもなんで、育児と介護がほとんど延長線上にすぐある。
子育ては中学くらいまでたっぷり投資すれば、その後市役所や区役所がサービスとして供給することは特になくて、あとは本人が介護保険もらうまでは払いっぱなしになる。高齢化社会を乗り切ろうっていうのが社会の持続可能性なのに、払いっぱなしの人たちがすぐ介護の側に回るとなると、その家庭は崩壊しますよね。

安藤   :

介護離職の問題もありますしね

文京区長:

働き方の見直しをどう社会全体で取り組んでいくのか、というのが、自治体の持続可能性にも関係していると僕は思う

安藤   :

流山市長は昭和29年生まれですよね。僕よりも先輩なのにDEWKS支援などを提案されるのが疑問でしたが、アメリカの原体験が関係ありますよね?

流山市長:

子どもが生まれることになったが、保育所も見つからなくて、妻が仕事につく直前で仕事を諦めた。というのが、やっぱり私にとっては大きな……。

安藤   :

当事者としての意識が芽生えた?

流山市長:

そうですね。働きたい女性には働ける環境を用意すべきだ、と思いました。区長もおっしゃった、「誰が育てるのか」ということはアメリカでも問題になっています。中産階級の家庭は大体共働きで、子どもは保育園かベビーシッターに預ける。そのベビーシッターは移民の方で英語がしゃべれない。しゃべれたとしても子どもとのコミュニケーションを積極的にやらない人が多く、家で育てる子よりも言語発達が遅れると言われた。そうすると「アメリカ人を誰が育てるのか」という議論になった。そういった意味でも働き方に選択肢、ゆるキャリとかいろんな働き方ができてこないと、子どもの育ちとしてはなかなか厳しいと思います。




子どもは地域デビューのパスポート
まちぐるみ、地域ぐるみで子どもを育てる


安藤   :新住民と旧住民の壁みたいなのはありますか? 共働きが急増していることによって子育ての姿というか、地域のあり方も少し変わっていると思う。自治会の交流ができないとかそういう課題はありますか
流山市長:多くは新しい住民を取り込みながら、毎回自治会のお祭りが大きくなっている。自治会に入らず、ゴミ出しの仕方がわからなかったりという話は伺うけど、ローンを組んで入ってきてる以上、流山を良くしたいと思っている人が多くて、その点は軋轢はないかと思う。昔からいらっしゃる方とのコミュニケーションの取り方や考え方の相違で議論があるかもしれないが、特に開発が進んでる地域でも、割合うまく仲良くやって頂いている。
安藤   :世代間交流の具体的な場としては、お祭りとか?
流山市長:そうですね、コミュニティ活動、自治会活動、
安藤   :子育ては入っていますか
流山市長:その中にはないです。ただ、小さなお子さんが集まっている会や双子の会などをサポートしている熟年のおばあさんたちのボランティアがある。この方たちの支えがあるから活動出来る若い人たちがいるので、これは広げていきたいですね。
安藤   :文京区にも「おせっかいの文化を広げよう」というのがありますが、おせっかいをするのは上の世代で、どう啓発していくのですか?
文京区長:おせっかいなおじいさん、おばあさんはマイナスイメージではないんだ、どんどん口出してもらったほうがいいんだ、と。文京区って23区のなかで刑法犯が一番少ない、つまり犯罪が最も少ない。火災も23区内で一番少ないんですけど、それでも声かけ事案だとか振り込め詐欺だとか子どもと高齢者に特化した犯罪がなかなか減らない、それを解決する、遠いようで一番の近道が地域のつながりが増える事で、そういう活動をしてくれる人たちを支援したいといろいろ始めている。空家を提供してくれるおじいさんがいて、そこで色んな活動が始まっている。昼間は、まだ子どもが幼稚園に行ってない専業主婦の育児サークルが出かけて行って、おばあちゃんたちとお昼一緒に食べたりして交流している。もともと町会組織率も決して低くないですし、未だに暮れの夜警の活動だとかも全地域でできている。それとつなげる事で何かができていくと思う
あるいは、保育所の仲間がそのまま小学校に入ってPTAの役員になって、安藤さんとかもその典型例かもしれないですが、そこでお父さん、お母さんの仲間が、町会の人たちと交流したり、地域活動をしたり、というのは増えていますよね。適当に動いている人たちが同時多発的に出始めているというのは可能性を感じる。
流山市長:半年前、息子と流山の駅前の居酒屋に行ったら、お父さんたちのグループがいて、一緒に盛り上がった。通勤でクタクタになって帰ってくるイメージの流山でしたが、今のお父さんたちは地域にグループを作ってる。すごい可能性を感じる。
安藤   :そういうのはチャンスですよね、こういう時期にまさに共働き共育てというか。
文京区長:初孫講座というのをやっています。世代間ギャップがあって、お嫁さんとおばあちゃんの対立が始まるわけですよね。果糖、果物の絞り汁は子どもにいいんだって昔は飲ませていたけど、今は小児肥満になったらどうするつもりかという具合に、かつての常識まで非常識になっていたり。全然変わらないものもあるし、お互い見つめ合う場が必要だっていうんで、おじいちゃん、おばあちゃん世代向けにやっている。もう3年目になります。
安藤   :僕なんか、夫婦とも親とは離れて暮らしているので、なおのこと地域の人達と意識的につながるようにしています。僕の近所は、子どもがみんな成長していなくなっちゃって、高齢の夫婦ばかり。うちだけが子育て家庭で鍵っ子なんだけど、近所のみんな見ていてくれてる感じがして。
文京区長:町会の活動のなり手がいないとか言わないで、やり続けましょうよ、と。今の安藤さんの話みたいに、あの子がどこの子だ、安藤さんちの子だってとこまでわからなくてもいいけど、「自分の街の子だよな」というのがわかるまでに日常的な触れ合いの場を増やして、「このマンションの子なんだろうな」ということくらいまでは街の人たちがわかっていれば、声かけ事案とかで連れて行かれるような時に声かけてあげられるよね。
安藤:やっぱり知ってる子であれば、その声ってうるさくないんじゃないの?って思うんですよ。知らない子だからノイズにしか聞こえないけど、「あの子はあそこんちの子だよね」ってわかっていれば、元気な声にポジティブな反応になる。
文京区長:逆も当然ある。そうやって自分の子が地域の人にお世話になっていたら、親世代だって上の世代の人たちを知らんぷりできない。振り込め詐欺で血相変えてどっかに走っていくおばあちゃんみかけたら「あぶない!」と思って声かける。共働き世代も地域の友達を作ることが絶対大事で、保育園という限られた空間のなかに子どもを預けて送り迎えだけで過ごすのではなくて、そこで地域の仲間をいかに増やしていくのかというのが決め手になる。
安藤   :遠くの親より近くのパパ友。「子どもが地域のパスポートなんだよ」と。そのネットワーク作り、それも世代を超えてやっていくっていうことが、豊かな子育て環境につながる。流山市長も「誰が子どもを育てるのか」とおっしゃってましたけど、別に親だけじゃなくてもいい。
流山市長:そうですね。親あるいは地域、日本に住んでいる人たちで日本の子どもを考えなくては。誰かに任せておけばいいということではない。



地方版子ども・子育て会議
どれだけ地域の特色を出せるかがカギ


安藤   :子ども・子育て会議の状況を簡単にレビューいただきたいんですが。
文京区長:文京区では保育所と幼稚園にとでは、依然として幼稚園に行っている子のほうが多いんです。幼稚園の年少さんは3歳ですよね。ところが3歳児の年少人口は文京区で1700人くらいで、保育所、幼稚園、区内・区外・国公立・私立いろんな選択肢全部入れても200人くらいが、どこにも入れないのです。幼稚園は2年保育になると定員がぐっと広がるので、入れない子はほとんどいなくなるのですけれど。僕は、3歳から始まる認定子ども園などで、この200人を吸収しないとダメだなって思うのです。全ての子どもに対する手当の筈なのに保育所モデルだと0歳から教育が受けられて、幼稚園モデルだと4歳5歳しか教育が受けられない。ところが、幼児教育の専門家の人ほど「それは選択肢の問題だから別に2年保育だっていいんだ」という。私立幼稚園の中には「建学の理念だ。設立の理念で、預かり保育もやらない」と言う方もいますが、それでは子育て支援が保育所モデルに軸足が傾きがちになるので、子ども・子育て支援新制度を使って埋める努力をしていきたいと思っています。
流山市長:流山も確かに幼稚園の希望者が多いのですが、急速に保育所需要比率が伸びている。保育所が定数には満たないのですね。幼稚園はトータルとして定員割れしている。だから認定こども園、預かり保育も、ようやくここにきて考えていただける状況になってきました。これから需要と人口増と供給側の数で、何ができるのか、何をしなくてはならないのかというのは一定ではなく、地域によって変わってきます。これをきちんと子ども・子育て会議で見ていかなくてはならないと思います。
文京区長:僕はどれだけ地域の特色を出すのか、というのがポイントだと思います。例えば幼稚園の3年保育に必ず入れるようにすることと学童保育ですね。保育所の待機児童解消の一方で、学童保育の量的な拡大をどうするのか。学童保育だと、放課後全児童対策として全部一緒にしてしまうのが全国的にトレンドになっているようだけど、文京区はそれはやらない。ただ、今回、6年生まで学童保育を国が認めるようになるが、4年生、5年生、6年生は全児童対策で行う、という形で打ち出して特色を出す。それともう一つ、現行計画でも「すべての子ども」ではなく「子どもを望むすべての家庭」と言っている。子どもを望むところから子育て支援が始まるんだ、とうちでは言っていて、新年度に「ハッピーベイビープロジェクト」を始めます。
目先の子どもの数だけがどんどん増えているけど、区全体の出生率はどうか。2人目3人目と生む家庭は増えているので出生「数」は上がっているけど、合計特殊出生率、該当する女性に対する出生率は上がっていない、おそらく流山もそうだと思います。それは私もメンバーになってる国の少子化危機突破タスクフォースの中でも問題になっていて、非婚化・晩婚化・それに伴う不妊に対してどうアプローチしていくのか。女性がキャリア進出するにしても、できるだけ早い年齢で妊娠・出産の準備ができるような意識啓発だとか、不妊治療。不妊の原因の半分以上は男性だと最近の治験でわかっているのに、最初に産婦人科に行くのは必ず女性。最後にいやいや旦那が行く。卵子の老化とともに男性の精子減少症のことも夫世代にも啓発して、「子どもを望むところから支援をしよう」というのをキャッチフレーズにしたいな。
流山市長:流山では、去年の4月から子ども・子育て会議を立ち上げて、このところずっとタウンミーティングというか市民のその年代の方たち中心ですが、いろいろ意見を聴取してきました。これから地域の課題や需要をどういうふうに整理していくか、というところです。
安藤   :学童保育の増設も入っていますよね
流山市長:保育園があふれていますから、学童も、それと当面、小学校もあちこちでプレハブを作らなくてはいけない。それがやがて中学校になるわけです。
おっしゃるとおり、子どもの数は増えています。平成23年、千葉県では2位の出生率ですが、それでも2.01には遠く及ばない。この原因は、やっぱり若い方が非正規雇用の部分が大きくて、結婚もとてもできないし、自分は子どもを生んではいけないと思ってしまったり。実際生んでもどうやって生計たてるのか見通しがたたない、この部分がすごく大きい。でも一自治体で出来ることではない。子育てと教育環境をどう充実していくか。私は、どちらかというと教育という点まで引っ張りたい。質をどう高めていくか。
安藤   :教育を充実させていくことで、そういった将来のビジョンを持ちやすくなると?
流山市長:非正規雇用はそう簡単に解決策は見あたらないと思うのですが、少なくとも流山の子ども・子育て会議では、教育の質の向上をどうやって確保、引き上げていくのか、競争させるのかということを、これから調整していく。
気がかりが国の動きで、親の就業時間が数十時間で、月64時間以下で保育所入所OKという話がある。目指す方向はいいですが、今でさえ待機児童が減らない状況で、それを打ち出すのであれば、国のほうで、補助金のような財政的な裏付けを作って整備、それを具体的にどうクリアしていくのか示していただかないと困る。新聞記事を読んで「あ、うちも今度入れるんだ」って思ったのに、蓋開けてみたらごめんなさいって、国はごめんなさいで済むけど地方自治体はそれでは済まない。一つ一つ理想を掲げるけれども、そこへつなげていくステップを、順序立てて考えていかないと本当に困る。夢と実現するアクションプログラムをきちんと分けて考えて欲しい
それと、いろんな状況があってニーズが違うというのも前提に、国の会議で目指すべき方向が出て、それを落とし込む時に一律にしないでほしい。優先順位も違うし、幼保一体化だって、幼稚園も保育所も空きが出ている地方と、両方満杯になっているところでは違いますよね、なので選択肢を盛り込んでいただきたい。
安藤   :すべての子どもと子育て家庭。共働きだけじゃなくて、1、2、3歳児を家でみている家庭の課題もあるだろうし、障害や難病のお子さんのいる家庭や、社会的養護などに対する両方の自治体の取り組みを教えてください。
流山市長:流山市内には重度心身障がい者のための施設というのは無く、近隣の市と共同で事務組合を持っています。市内で最近増えているのは、心身障がい者の働ける場所。公共施設でのカフェ運営などを少しずつ増やしています。例えば生涯学習センターに元気な障がい者の男の子がいて、誰彼となく話しかけるので、皆彼を覚えるのですね。そうすると、市内のあちこちで声をかけあえる。就労の場所が市内にあって、みんなが顔見知りになる、名前が分かる。それがとても大事です。
文京区長:自治体として、離婚後の面会交流支援に取り組んでいく必要があると思っています。とりあえず離婚するというケースでは、裁判や調停の結果次第では子どもと日常的に会えなくなるかもしれないという不安や絶望感に追い詰められて、傷害事件などにつながることがある。離婚をするまでの間に、面会交流の仕組みをどう整えておくのかが非常に重要です。両親にとっては両性の合意による離婚なのだけれども、子どもにとっては、なんら合意されていない。今後離婚のケースも増えて家族のパターンも多様化してくるはずなので、社会的養護も、妊娠を望まない出産とか、特別養子縁組の課題に取り組んでいかなくてはならないのと同じ様に、離婚後の面会交流支援にも取り組んでいく必要がある。実は早稲田大学の家族法で有名な棚村政行先生とか、打越さく良さんとか、家族法に詳しい弁護士さんがたちと、文京区でやりたいということで取り組み始めました。
安藤   :背景にある単独親権の問題とか、あるいは、とりあえず早く別れたいということで子どもの権利を保護できないような事態を防ぐルール作りというか。
文京区長:離婚で親権をどちらが持つかというと、ほぼ確実にお母さんのほうに行ってしまってお父さんが子どもと会えない。
流山市長:韓国でしたか、離婚届けを受理するのに時間をある程度置くとか。しかし、離婚まで考えている状況では、ほとんどの方が自分のことだけで一杯でしょうね。
文京区長:離婚届を出す前に、離婚するときにはこういうこと決めてからしなきゃならないですよと、それもおせっかいなのですが、それをやっていかないとこれから大きな事件にも繋がりかねないです。



「イクボス」のすすめ
トップや上司の声掛けで、子育てしやすい環境づくり


安藤   :奇しくも成澤区長は、首長で男性で育休取った先駆者であるのですが、井崎市長はどのようにご覧になりましたか?
流山市長:議員は何人かいる訳ですし問題ないのかなと思います。総理とか知事とか、自分が手を挙げた時に育休を取るというのは、私自身は抵抗があるのです。市長に立候補して当選して、私はちょっと取れないなと思っています。年代によりますね。私は子育てが、ほぼ片付いて立候補していますので、それは大きいと思いますけれど。
安藤   :今、育休取られている方は40代の方が多いですね。流山市の職員の方の育休はどうなっていますか?女性はほぼ取っていると思いますけれども。
流山市長:ちゃんとした育休を取っている男性はいないですね。
安藤   :えっ。過去ゼロ?
流山市長:いないですね。
安藤   :流山の場合は、職場に育休をとろうという雰囲気はないですか?
流山市長:職場に雰囲気……。(随行職員のほうを見て)うーん、まぁ、そうですね。
安藤   :実は文京区も5年前までそうだったのです。ゼロだった。23区で文京区だけが男性の育児休暇取得がゼロだった。(成澤区長を指さし)空気を変えたのですよ。
文京区長:僕のケースは、極めて個人的な理由ですけど。イギリスのブレア首相と同じ、わずか2週間。なんちゃって育休。ただそれは、職員への後押しになっていますね。
ちょうど改正介護育休法が施行された年で、各自治体がそれに伴う対応に迫られたのです。これはチャンスだ!と思い、いくつか対応して、今一番効果的なのは、男性の育休取得促進要綱。子どもができると男性職員には所属長が必ず勧める。
育休だけが子育ての仕方ではなく、どんな子育ての仕方をするのかはそれぞれの家族で考えれば良いことです。少なくとも、上司の顔色を伺って「俺取っていいのかなぁ、どうなのかなぁ」というのだけは避けたい。女性が育休を取ろうとする時に「何で仕事を放棄してやるんだ」と言う人は誰もいないではないですか。それは我々も同じで、女性市長が子どもを産んだら市長を辞めなくてはならないのか、そこまでこの国は遅れていますか?というと、そうではないと思うのです。海外旅行や姉妹都市視察に行けば2週間位いないのですから、男性職員だけはとりあえず勧めるということをしたら、徐々に増えてきて、今は24年度で取得率17%です。国の目標を遥かに超えている。
安藤   :5年前までは0だったのですから、くるみんマークももらえなかった(笑)
文京区長:17%というとびっくりするけど、1日休んでも数字1ですから、あまり数字の意味はなくて、17%と先にいうのは大きく見せるため。実際に取ったのは3人なのです。文京区役所は非常勤まで入れて今2,000人位の職員がいて、その中で1年間に子どもが生まれる家庭というのが何十人、そのうちお父さんが職員のケースというのが、その何十人の中の何十人、そのうちの3人だから跳ね上がる。
安藤   :0と17ではイメージが全然違いますからね。
流山市長:それは全然違いますね。
文京区長:有休の出産時特別休暇のように有給休暇として与えられている特別休暇はいくつもありますよね。あと子の看護のための休暇だともっと取得率は高いですよ。ほとんど皆取っている。それを取れるようにしてあげるのは、トップだと思う。全国の自治体が同じ様な要綱を作っていくことによって、働きやすい職場環境になっていく。公の部門がリードしないといけない施策ってあるはずで、男性の育児参加を役所がやらないで、どこがやるんだ、と。
流山市長:共働きであれば……。
安藤   :まさにDEWKS支援をしている流山で、是非そういった声かけを。それがあるだけでも随分違うし、市長もちゃんと考えてるんだよって伝わる。
厚生労働省の調査でも一人目の育児のときの夫の協力によって二人目の出産意欲が高まるというのが明らかに出ています。
流山市長:私もさんざん言われてきたから。
安藤   :それは日本帰ってきてからですね? アメリカにいた頃は環境があったから、当たり前に家族と夕飯を食べていたのに、日本はそれができない。まずはワーク・ライフ・バランスですよね。子どもの育ちの環境を悪化させている。これで離婚になると、また子どもに会えないお父さんを生んでしまう、悪循環。できれば「イクボス」というキーワードをぜひ覚えていただいて啓発いただければ、と思います。



文化と歴史、自然、暮らし
持てるものを活かしながら、持続可能なまちづくり


安藤   :最後にメッセージを。
流山市長:流山市の場合、お年寄りも若い方々も街全体がゆったりとしています。そこそこ人口はあるんですが、住環境も雰囲気もなんとなくゆったりしているので、ゆったりとお子さんを育てたい方に選んでいただけるように、市民の方々と知恵を出し合い、きちんと整備をしていきたいと思っています。かつて、私というよりは妻が迫られた、選択肢で人生が変わってしまうようなことはない街にしたいと思っています。今日は流山とは違う取り組みをされている文京区さんのお話を伺い、是非持ち帰ってニーズのあるところ、男性職員の育児休暇、これもきちんと検討していきたいと思います。
文京区長:今年消費税上がりますしね、負担とサービスに関係といったものに住民の人たちも一層関心をもってもらうチャンスなのかな、と。子育ての関係だと、サービスの話にどうしてもなりがちだけど、それはお金がかかっている話であって、受益と負担のバランスをどうつくっていくのか、永遠の課題に取り組まなくてはいけない。今保育園が国基準が8段階のところを三十何段階に分けて自治体がサービス競争をしているという状況、これは将来的には持続可能性が低いと思うんですよ。
今度新制度の中で認定こども園を作るわけですけど、それを国基準からどこまでやるのか、まさに子ども・子育て会議は当事者参画でやるわけだから、1円でも安くやればいいんだよ、という議論をする自治体は、僕はそこまでなんだな、と。持続可能性を捨てるのと同じだから。文京区の子ども・子育て会議はそうはならないと思うし、そういう問題に対して正直にこのくらいじゃないと持続しないんじゃないのと投げるいい機会なんじゃないかと思っています。
文京区って地下鉄しか走っていなくて、ターミナル駅がないんです。流山市さんはポスターなど宣伝上手の自治体だな、と思って
安藤   :HP圧倒的に流山勝ってますよね。
文京区長:宣伝の仕方、自治体もPRの時代、マーケティングの時代だと思うんで、これから参考にさせていただきたい
安藤   :自治体同士の交流事業なんかも、これをきっかけに。そんな遠くないし。
文京区長:今日はどうやって?
流山市長:TXで新御徒町から大江戸線で。電車乗ってからだと30分、ドアtoドアだと、プラス10分くらいです。
文京区長:あ、そんなもんですか
流山市長:先ほど成澤区長がおっしゃっていたように、専門家の方が多数いらっしゃるからできることがある。その地域、地域で、市民の知恵や力を借りながらできることが(文京区と流山で)少し違うかもしれませんので、是非情報交換をしていきたい。
安藤   :流山市内で、ここを見て欲しいというところがあれば、PRを。
流山市長:「おおたかの森」。ショッピングセンターと広場があって、駅降りると公園のような街。さらに、少し遠いが「利根運河」。120年前に作られた利根川と江戸川をつなぐ運河で、その自然が素晴らしく、皇太子殿下とオランダの国王が4年前にいらっしゃった。あと流山本町。江戸時代から栄えていて、古民家を再生したカフェなどができている。ちょっと違う雰囲気のところなので是非訪れて欲しい
安藤   :文京区のアピールは?
文京区長:去年は徳川慶喜公生誕終焉の地で企画を組んで、その前は森鴎外生誕150年で記念館を作りました。ふみのみやこ(文の京)と勝手に呼んでいて、19の大学、4つの大学病院があり、明治の文豪ゆかりの場所、江戸からの歴史のある神社仏閣があったりと、ギュッと固まってる、歴史と文化の街です。これから東京オリンピックを迎えるにあたって、昔からの人の生活の匂いだとか江戸から続く歴史の息吹だとかを感じられるところとしてアピールしていきたい。湯島、根津、千駄木という地域には、今でも土日になると東京以外からも街歩きの人たちが訪れる。観光バスで観光するところは1カ所もないが、街歩きの人たちを、オリンピックの時にお迎えするために、どう対応するかをこれから検討していきたい。
流山もオリンピックで訪日する人たちを呼び込むとすると、古民家や史跡で、文京区との連携もできるんじゃないかという気がします
流山市長:本物の日本、日本の生活を味わう。何度か日本に訪れる方は皆だいたいそういう趣向になっている。そういう意味で文京区と流山と連携してやっていけたら。
安藤   :6年後にも期待しつつ。今日はありがとうございました。

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