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2014年度企業・団体サポーター交流会を開催しました。

2014年度企業・団体サポーター交流会を開催しました。

2014/08/8

「イクメンを育てるマネジメント」

 7月14日、東京・日比谷の第一生命保険株式会社において「2014年度にっぽん子育て応援団 企業・サポーター交流会」を開催しました。企業・団体サポーターおよびサポーターを検討していらっしゃる企業合わせて20社・60名の方々が参加してくださいました。
 女性活躍が叫ばれる昨今、仕事と家庭の両立の実現には欠かせなくなった“イクメン”の存在。より働きやすい企業風土の醸成を考える上でも、イクメンを育てるイクボスの存在については、今年度から厚生労働省がイクボスアワードの開催を始めたことからも明らかです。いかにしてイクメンを育てるマネジメントを実現させるのか。交流会では、「イクメンを育てるマネジメント」をテーマに基調講演やパネルディスカッションを行い、最終的には生産性を上げる業務改善につながることなどを確認しました。

 ほぼ満席となった会場では、冒頭、勝間和代団長がイクメンの重要性について「腹落ち」、頭ではなく身体感覚で理解してもらいたいと説明。ワーク・ライフ・バランスを大事にしているという第一生命保険株式会社からは、人事部長兼ダイバーシティ&インクルージョン推進室長の銭谷美幸さんが、職場、上司によって対応が異なることを課題に受け止め、今回の会場提供に至ったことを吐露し、学びあいを呼びかけました。

◎イクメンプロジェクトの現況について
 厚生労働省の中井雅之・前職業家庭両立課長が国の施策について説明。「国として男性の育児参加を進めていかなくてはいけないという問題意識で取り組んでいる」ことが強調され、数々のデータやイクメンプロジェクト、新たに始めるイクボスアワードなどの事業が紹介されました。その上で、今回、行われた制度改正に言及。育児休業給付の給付率を半年間、67%に引き上げましたが、育児休業期間中は社会保険料を負担しなくてよいことなどから実際の手取りはかなり高いことが明らかにされました。

◎基調講演
 安藤哲也団長が、自身の経験をもとにこれからはイクボスが重要である旨を強調しました。フルタイム勤務の妻を支えて子どもの保育園の送迎を分担し、管理職であっても定時で退社を実践してきた結果、部署全体が早めに帰るように。その結果、子どもが生まれる部下も多かったことを紹介し、ボスや男性の働き方が出産にも影響を与えることを示唆しました。そこから、カナダの父親支援プログラムを学んでファザーリング・ジャパンを立ち上げた経過を紹介。育児休業を取りたい新入社員も増えているだけに、そのための上司の業務マネジメントも大事だと訴えました。
イクボスについては、職場でともに働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランスをかなえ、その人のキャリア人と人生を応援しつつ、業績アップを目指し、自らも仕事と私生活をバランスよく楽しむことのできる上司と定義。育児や介護、高齢、病気などにより働き方が限定される人が増える一方、核家族で家族だけでは子育てできない世の中で、固定化した価値観や仕事のやり方、男性の役割意識が強い上司が、長時間労働の是正の妨げになっていると指摘しました。さらに、10万人といわれる介護による離職者を防ぐことも今後の企業の課題として、今後はイクメンからケアメンの時代になると主張。女性の活用が強調される観点からも、世界一多い労働時間を、生産性を上げつつ、いかに削るかが課題で、そのキーパーソンはボス、イクボスの標準化を訴えました。最大のポイントは管理職の評価を変えることを挙げました。

◎パネルディスカッション
 日本生命保険相互会社・人事部輝き推進室の浜口知実さん、育児休業取得者でにっぽん子育て応援団企画委員の山田正人さん、同じく企画委員で21世紀職業財団会長の岩田喜美枝さんが、それぞれの経験から育児休業取得に重要なポイントなどについて話しました。
 まず浜口さんが、男性育休100%へのチャレンジについて説明しました。9割が女性の職場で、女性の活躍推進を重要課題として平成20年に同課が誕生しましたが、女性だけが頑張るのではなく、男性が変わり組織風土が変わることが大事だと、男性育児休業促進に取り組むことを目標決定。中途半端ではだめだと100%の目標を設定したことを明らかにしました。昨年の該当者500人。男性が取得しやすいように期間は1週間とし、対象者が取得予定計画を立てて人事部に提出するよう人事部でフォロー。計画的に取得できない場合は上司を通して再計画するよう個別フォローするほか、取得を促す情報提供などを実施し、推進してきたことを紹介しました。現在では、育児休業が話題に上ることに違和感がなくなったということですが、イクボスが広がるところまでには至っていないとして、「目標を掲げ続け、風土を変えたい」と、今後の抱負を語りました。
 山田さんは、10年前、まだ育児休業給付が3割の時代、2歳の双子の次の第3子出産時に、1年間の育児休業を取得した経験を報告しました。DINKS時代は家事も仕事も夫婦で同じように分担してきたが、双子の出産時に妻が育児休業を取得してから、妻に育児の比重が偏り、自分は深夜2時、3時ごろに帰る生活に。育児はまったく負担してこなかったため、「このままでは第3子は産めない」と妻が相談。「子どもの命より大切なものはないので、育児休業は自分が取得しよう」と切り出すと、妻は「その手があったのか」と喜んで産んでくれたというエピソードを披露しました。直属の上司には「1年も休むのか」と嫌味を言われたものの、その上の上司や局長、人事部は当たり前という反応。友人からは出世をあきらめたのかといわれたことも披露しました。
 実際に体験しての思いとしては、育児休業後の両立も大変だったが、夫が育休を取得し家事ができると、子どもが病気のときでもどちらでも休めるし、妻の緊張感は軽減されるとメリットがあることを指摘。今では経済産業省でも育休取得は当たり前で、職場全員にとってよいことと話しました。
 岩田さんは、「男性が育児を担うことが必要なのか、まず押さえたい」と切り出しました。女性が社会で活躍できるような法律や制度を作っても、家庭で育児を担うのが妻だけであると、女性はキャリアアップできないと断言。短時間勤務や転勤免除などにより仕事は継続できるかもしれませんが、キャリアアップはできません。そして、女性が子育てのために仕事を辞めると、元の仕事にはつけないため、生涯賃金が2億円以上違う計算になるとも指摘し、家計全体に大きな影響を与えると説きました。
さらに、男性側にとっても、育児は妻に任せ自分は仕事だけやりたいという人は1割程度しかないとして、仕事も家庭生活もしっかり担いたいという多くの男性の願いをかなえることも、男性の幸せにつながると訴えました。さらに、子どもがゼロ歳児のときに父親が育児にしっかりかかわるかどうかが、その後の父子関係に影響するとの研究があることや、妻が第2子を持ちたいと思うかどうかは父親の育児貢献度に関係するなどと指摘しました。
 勝間団長は、政府のゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(平成17年)で議論した際、2人目をためらう理由として夫の家事・育児の非協力が挙げられ、諸外国と比べて極端に遅い帰宅時間が槍玉に上がったことを紹介。また、男性も育児休業を取得するとう前提で業務管理をすることが重要だと指摘しました。
 浜口さんは、育児休業の取得を機に、早く帰るため計画的に仕事を進める気持ちが強まる点を例に挙げ、遅い時間帯の会議設定や個人限定的な仕事は極力減らし、チームとして生産性が上がる方向を模索している点を紹介しました。
 山田さんも、育児休業前後で自身の仕事に対する姿勢が変化したことを報告。次に何が起こるか分からないという育児の見通しの立たなさが、仕事に置き換えると、どの手順がよいか訓練され続けることになると説きました。また、メールの登場でチームでの情報管理も可能となり、個人の多様な事情を受け止めつつ生産性を高めることが可能になっている点にも言及しました。
 岩田さんは、両立のためには、個人、課、部レベルで1時間当たりの生産性の向上が不可欠と主張しました。そのために、仕事を減らしつつ、業務を上げるため優先順位をつけたり、投入する時間を減らすなど工夫を紹介。生産性の高い働き方をした職員を評価することも重要と説きました。
 勝間団長は、外資系では、男性と能力が異なる女性を組み合わせると競争に有利になると考え、多様性に配慮しない人が排除される仕組みになっていると指摘。有給を消化しないことはかえって不正をしているのではないかと疑われる風潮がある点を挙げました。
 外資系に対する日本企業の問題点として、安藤団長は、長時間労働の見直しは自分のやり方を変える恐怖につながると分析しました。
 会場からは、才能が開花するためには1万時間以上が必要との理論を上げ、長時間勤務の否定や休業の促進は才能開花の時間が遅くすることになると懸念があり、突発的に休む人には仕事を頼みにくいと訴えがありました。
 それに対して山田さんは、集中して仕事をしないと能力が伸びない時期はあるが、その先は差がないと解説。自分は育児休業を取得して仕事のやり方が伸びたようだと振り返り、仕事を割り振る場合には、優秀かどうかで判断し情報共有が重要だと指摘しました。
 岩田さんは、休む人に仕事を頼まないとの考え方では、育児休業中の人などに仕事が与えられなくなり、その人の成長のチャンスを失うと指摘。やり方の工夫でカバーできると説きました。
 それらをまとめて勝間さんは、誰もか突発的に休むという前提で仕事の段取りを組むことが重要と指摘。よりより方法をフィードバックし、社会で情報共有する必要があると説きました。

 会場をご提供くださった第一生命保険株式会社に、心より感謝申し上げます。

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