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子ども・子育て応援フォーラム「いま、子ども・子育て支援から この国の未来を考える」を開催しました。

子ども・子育て応援フォーラム「いま、子ども・子育て支援から この国の未来を考える」を開催しました。

2014/12/09

 にっぽん子育て応援団は11月28日(金)、子ども・子育て応援フォーラム「いま、子ども・子育て支援から この国の未来を考える」を、東京・永田町の星陵会館ホールで開催しました。
第1部では先進自治体から事業計画策定状況について報告してもらい、第2部では自民・公明・民主党の3党の国会議員から子ども分野の財源確保策について訊きました。



開会あいさつ
 冒頭、応援団企画委員の奥山千鶴子(子育てひろば全国連絡協議会理事長)が挨拶しました。当初、子ども・子育て分野には1兆円超の財源が必要とされながら、確実な財源は消費税増収分の7000億円しかなく、質の向上のためにも残る4000億円の確保を確認したいとの狙いで企画したフォーラムだったが、消費税引き上げが1年半延期になるという、とんでもない事態のなかでの開催となったことを説明。引き上げ延期という状況を踏まえて、「これからのわが国の子どもたち、子育て支援の未来を考えるという構成で行きたい。応援団は財源の獲得を訴えてきた。いよいよ恒久的な財源が入って新制度のスタートが切れる、応援団も一定の役割を終えることができるかと考えていたが、やめられなくなった。もっと運動を盛り上げていこうということなのか、会場の皆さんとも今後の進むべき道を共有したい」と呼びかけました。

第1部 パネルディスカッション
「決定! わがまちの子ども・子育て支援事業計画」
 

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兵庫県尼崎市、子ども・子育て支援新制度準備室の大前仁哉さん、三重県桑名市教育委員会教育教務課の水野雅文さん、神奈川県と同県逗子市の子ども・子育て会議委員を務める東浩司さん、千葉県流山市子ども・子育て会議の副会長を務める田中由実さんがそれぞれの自治体の検討状況について報告。玉川大学教授の大豆生田啓友さんがコーディネーターを務め、内閣府の子ども・子育て支援新制度施行準備担当審議官の長田浩志さんがコメンテーターを務めました。
 第1部冒頭、大豆生田さんが、パネルディスカッションのテーマに関連して自分の思いを語ってくれました。現場が好きで実践への興味・関心が強いけれども、子どもが大事なのにこの分野への公的投資が少ないとの問題意識から制度にも関わるようになった。「これまではお金をかけなくても大家族や地域の中で(子どもたちはきちんと)育てられてきたが、今は、環境が大きく変わり、手厚い教育や保育、地域の子育て支援が必要となっています。ところが、日本は他の先進国と比べて子どもにかけるお金は圧倒的に少ない。それは研究者としても大きな問題に思っています。いろいろとご意見はあるが、今回の子ども・子育て支援新制度は、そうした目から見て画期的」と話しました。その上で、新制度の目玉の一つに地方版子ども・子育て会議を挙げ、「各自治体において、自分たちで(子育て支援の仕組みを)作っていける。各自治体でどれだけそのことに力を入れたかで大きな差が出てくる」との認識を示しました。
◎尼崎市
 大前さんは、子ども・子育て支援新制度には幼稚園に関係する内容も含まれていることから、同市子ども・子育て審議会を市長と教育委員会両者の附属機関としている点を特徴に挙げました。また、子ども・子育て審議会の下に委員の人数を絞った4つの部会(①子ども・子育て支援事業計画策定②就学前の子どもの教育・保育のあり方③認可基準等④利用者負担)を設け、平成26年11月末までに49回の部会を開催するなど論議を重ねてきたことを報告しました。利用者負担や認可基準案、教育・保育のあり方に関する検討報告がまとまった機会をとらえてパブリックコメントを実施するほか、市民説明会や就学前世向けの個別通知を行うなど情報提供を行ってきましたが、まだまだ市民への周知が足りないと広報を課題に挙げました。
◎桑名市
 水野さんは、「全員参加型の市政」という同市のビジョンを柱に、事業計画の策定に取り組んできたことを報告しました。財政の厳しさも市民と情報共有。幼稚園や保育所は量的に充足しており、市の課題を洗い出すため、ニーズ調査とは別にヒアリングやワークショップを開いて、幅広く市民の意見を拾い上げたことを紹介しました。子ども・子育て会議には事業計画の基本理念ともなる3つの柱をテーマにした3つの分科会(①子どもが主人公②育てる側を育てる・支援する③地域の子育て力を高める)を設置。各分科会で課題解決方法を検討するなど、計画策定のプロセスにおいても「全員参加型の子ども・子育て支援」を意識してきたことを報告しました。
◎神奈川県・逗子市
 東さんは、逗子市の特徴として、「(以前住んでいた三鷹市と比べ)行政サービスは貧弱だが、環境や地域の人々という面では子育てしやすい」と分析しました。半年間の保育料に関する検討を経て、新制度に関する議論がスタートすることになり、委員有志で勉強会を開催。その後も、子ども・子育て会議の委員同士をネットワーク化する必要性を感じ、月1回程度、それぞれが講師となる勉強会を開催している旨を報告しました。「新制度でサービスがたくさんできると、親がサービスの消費者になってしまう」ことを懸念。地元で様々な活動に取り組む人たちと交流し、親を巻き込むなどして、地域のつながりを作ろうとしていると打ち明けました。ファザーリング・ジャパンの理事でもある東さんは、新制度への関心が低い父親に、いかに参加しもらうかを課題としていることも挙げました。
◎流山市
 田中さんは、産前・産後支援や地域子育て情報の提供を行うNPO法人ながれやま子育てコミュニティなこっこの代表。つくばエクスプレスが開通して子育て世帯が流入し、出生率が全国平均を上回るようになった現状を紹介しました。若い人を呼び込もうという市の方針から、街づくり計画の際にも委員として呼ばれ、その延長で子ども・子育て会議の副会長を割り当てられたのではないかと分析、「私のような人がいるから、公募の委員も発言しやすくなっているのではないか」と話し、会議では活発な意見交換が行われている旨、紹介しました。ニーズ調査の項目に、「流山市は子育てしやすいまちだと思うか」といった質問を入れるように要望し、調査に関するワークショップなども行い、市の課題を出し合ったことなども報告しました。
◎国の進捗状況
 長田さんが取り組みについて説明。ちょうど各自治体も事業計画のとりまとめに入っており、事業計画に盛り込まれた保育等のニーズ量や確保策などについて各自治体の数値を積み上げ全国集計した数値を公表したところであることを紹介しました。その際、「今回の計画のポイントは足元の需要だけではなく、将来顕在化する潜在需要も含めて計画したこと」と説き、自治体の数値を積み上げたニーズ量が待機児童解消加速化プランの推計値40万人(平成25年度から29年度末までに確保する保育の必要量)とほぼ一致していること、3歳未満の保育利用率(46%)や地域子育て支援事業、一時預かり事業などの確保が課題であることを挙げました。その上で、財源について、今年4月に消費税が8%となった時点で3000億円が子育て分野に投入されており、ここから7000億円となるまでどれだけ積み増すことができるかが課題であることを明らかにしました。その際、保育者の処遇改善など質の改善が実現できるよう対応したいとの姿勢を示しました。

 第1部パネルディスカッション終了後、応援団が独自に自治体の取り組みを顕彰する「勝手に表彰!」授与式を実施、子ども・子育て支援新制度に向けた準備状況に着目、丁寧な審議や情報提供に取り組んでいると思われる自治体を“「おしえて!子ども・子育て支援新制度」準備大賞”と称して表彰しました。対象となったのは、兵庫県、埼玉県和光市、墨田区、三重県桑名市、山口県防府市で、このうち、兵庫県、墨田区、三重県桑名市の関係者が代表して表彰状と副賞(わがまちの未来を語る子ども・子育て会議実践ガイドブック&子育て支援者研究セミナー報告書「子育て現場のケアコミュニケーションを考える」)を受け取り、会場から盛大な拍手で称えられました。

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第2部 パネルディスカッション
「どう実現する? 子ども・子育て支援政策
~まだまだ足りない!4000億円」


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 自由民主党からは猪口邦子・参議院議員、公明党からは古屋範子・前衆議院議員、民主党からは徳永エリ・参議院議員ら出席。堀田力団長と奥山企画委員が、消費税引き上げ延期に対しての感想や財源確保の方策などについて尋ねました。 
 このうち猪口さんは、専任の少子化担当大臣として就任した経験を上げながら、「これまで子どもや女性のことは後回しだったが、全力でこの分野を主流化しようとしてきた。今回も後回しにしてもらっては困る。高齢者施策も大事だが、子どもも大事だと強い言葉で政策推進する」と訴えました。
 さらに、総理が子育て支援はしっかり進めると発言している点を挙げ、「総理の発言は重いので、そのように与党で取り組む」と強調。保育士の処遇改善などについても8%の引き上げ段階でも可能な点は改善する姿勢を示しました。
 また古屋さんは、消費税引き上げ延期の首相会見を聞き、「延期で大きな影響があってはならないと真っ先に考えた」と発言。認定こども園に移行を予定していた幼稚園をはじめ園長・施設長や保育者、自治体関係者などの顔が浮かんだことを明らかにしました。新制度については1兆円超が必要とされており、当初から4000億円は足りなかったため、同党としても強力に財源確保を要求してきたことを挙げながら、新制度の実施に対し「いかようにも財源を確保していくと政府に強く求め、与党として強力に訴えていきたい」との姿勢を示しました。さらに、「社会保障は負担できる人が負担し、子育世代に回していくという流れが必要」と述べました。
 徳永さんは、「選挙に700億円の血税が使われる。大義なき解散。与党だけではなく野党にとっても政治不信の危惧だが、国民の声を届けるチャンス」と述べました。地元北海道では、通りで子どもが遊ぶ姿が見えないほど将来に危惧を抱かせる状況であることを挙げ、「子ども・子育て分野の予算が大きく減ることになる消費税の引き上げ延期は問題」と指摘しました。選挙の機会に、子どもの未来に何が必要なのかを訴えていきたいと呼びかけた。
 会場からは、子どもの貧困問題への対策や新制度で減収となる見込みの認定こども園から財源確保が求められました。子どもの貧困対策に関して古屋さんは、「子どもの貧困対策法」を成立させたことを紹介し、「一番大事なのは教育支援。どの家庭に生まれても希望する教育が受けられるようにすべき」と教育の重要性を指摘するとともに、同一労働同一賃金に向けた努力を訴えました。
 認定こども園への財源確保について猪口さんは、「規模園が減少になるなど大変な苦労があることは申し訳ないが、国と一緒に考えたい。ここで後退すると突破することは難しくなる。新制度は国だけではできない。民間の方も新制度を信じてついてきてもらいたい。そのあと押しがあれば、制度の不備を直しながら推進していくこともできるし、その勢いで財源も確保できると確信している」と述べました。

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 最後に、安倍総理大臣が消費税引き上げ延期と衆議院解散総選挙を伝えた翌日に、にっぽん子育て応援団として掲げた「子ども・子育て支援新制度の円滑なスタートのための財源確保を求める緊急アピール」を読み上げ、会場からの拍手によって賛同を受けるとともに、賛同者リストおよび賛同コメント集とともに、壇上の3議員に直接手渡し、子ども・子育て分野の質の向上と財源の確保を、再度強く訴えて、フォーラムを終了しました。
 緊急アピールは現在も賛同者を募集しており、衆議院選挙後に関係閣僚などに向けた働きかけを行う予定です。

☆緊急アピール文と賛同フォームはこちらから。

http://nippon-kosodate.jp/topics/topics.cgi?ID=00219

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