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2016年度地域まるごとケア・プロジェクト報告会を開催しました。

2016年度地域まるごとケア・プロジェクト報告会を開催しました。

2017/03/22

にっぽん子育て応援団 2016年度地域まるごとケア・プロジェクト
地域包括及び子育て世代包括ケア先進自治体調査と地域人材交流研修会開催報告会


 にっぽん子育て応援団会は2月5日、「支え合いのコミュニティがかたちづくる地域まるごとケア~子ども・子育ても、地域みんなの課題です~」と題して、2016年度地域まるごとケア・プロジェクトの報告会を、東京・虎ノ門の発明会館ホールで開催しました。全国から135名の方々が参加、保育室は3組3名の利用がありました。
 2016年度の報告会では、基調講演に「地域まるごとケア」の提唱者である東近江市永源寺診療所長の花戸貴司さんをお迎えし、「誰もが地域でその人らしく生きていくことが出来る社会」、地域を目指すことを、参加者全員で確認する会となりました。
 なお、調査報告とともに、報告会での基調講演をはじめとする全文文字起こしを掲載した2016年度報告書を、3月末からお分けする予定です。

【開催挨拶】公益財団法人さわやか福祉財団理事長 清水肇子
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 公益財団法人さわやか福祉財団の清水肇子理事長が挨拶。90年代から今の時代にあった地域の支え合いの仕組みづくりに取り組んできた同財団では、高齢者中心の活動ではあったものの当初から子育ち支援も視野に入れてきた旨を紹介しました。その上で、制度面では少しずつ充実しているがまだまだ政策提言が必要だと訴えるとともに、量の拡充だけではなく、子どもが地域でかかわりあいながら育っていくことのすばらしさを大人が教える必要があると説きました。

【基調講演】「子育て支援は地域づくり 永源寺の地域まるごとケア」
      東近江市永源寺診療所所長 花戸貴司さん

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 まず冒頭、「健康」のとらえ方が時代に対応して変化していることを指摘。以前は病気を治すことが医療の役割で、医療がすべての健康問題を解決すると考えられていましたが、高齢化で病気の種類が変化し、後遺症や麻痺が残るようになると、医学だけで健康が得られる時代ではなくなったのではないかと説き、病気を治す時代から地域で支える時代へと変化していると分析しました。
 そこに気付いたのは花戸さんが診療所に赴任したことがきっかけでした。高度な治療を展開しようと考えながら、3人に1人が高齢者という永源寺で在宅医療に取り組み、病気とは何か、元気とは何かを考えるようになったことが紹介されました。認知症で一人暮らしであったり、がんの術後であったり、人工呼吸器が必要な幼児であったり。入院するよりも家で暮らしたいと望み、地域で笑顔で過ごします。小児がんが見つかった10歳の男児は、抗がん剤治療をしても効果なく、訪問看護の対象となりました。その彼をクラスのみんなと少年野球チームが支え、半年後に皆に見守られて息を引き取ったことを紹介されます。誰かが誰かがを支えているのです。さらに、この少年野球チームが優勝したとき、キャプテンの口から仲間として彼の名前も口に上ったことも取り上げられました。
 花戸先生の受け止めでは、「病気」の反対側には「元気(気持ち)」があり、元気の部分が大きくなるとシーソーの反対側の病気は相対的に小さくなります。その例として挙げられたのは、子宮がんを患う84歳の女性でした。ひ孫がうまれて1年、寝ながら抱っこしているうちに要介護から要支援に変わったのです。誰もが支え手になるということでした。
 花戸先生がすべての患者にしている質問があるそうです。それは、「ごはんがたべられなくなったらどうしますか?」ということ。寝たきりになったらどうしたいか、家にいたいという希望があれば、それはすべてカルテに書き残し、みんなで共有しているそうです。元気を見ることも自分の役割だと学んだそうです。
 よりよい最期を迎えること、よりよい人生を暮らした結果。死や病をタブーにせず、どんな最期を迎えたいかを普段から家族を話し合っておくことが大切だと述べました。そうして経験した在宅医療で出会った看取りの様子が写真絵本になり、東近江市ではすべての図書館や学校などに置き、人生の最終章をどう過ごすか、対話ツールにしているそうです。
 このように花戸先生は、病院の中で病気だけ見ていると分からなかったことを、地域に出て知ったそうです。そこから生まれたのが、チーム永源寺です。医療職だけではなく、寺、福祉作業所、民生委員、住民団体、警察も加わっているそうです。地域の人一人ひとりが地域を支えあう。だから、地域包括ケアというより、地域まるごとケアなのです。地域まるごとケアがめざすものは、30年後、60年後でも安心して生活できる地域づくりです。それを次の世代に伝えなければならいと話されました。

【報告と提言】にっぽん子育て応援団事務局 當間紀子
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 にっぽん子育て応援団の當間紀子が、先進自治体調査と地域人材交流研修会開催について報告しました。プロジェクトは、「地域まるごとケア」の考え方を下敷きにした3か年の計画で、2年目、3年目と経年的状況把握するとともに、勉強会を複数回開催し全国的な普及を目指す予定です。2015年度、2016年度には16自治体にヒアリングを実施。2015年度は永源寺のある滋賀県東近江市を訪問し、行政マンも手弁当でかかわる「魅知普請曼荼羅」が作られていることなどを紹介しました。その上で、子ども・子育てに関する地域の人々の理解には差があることを問題提起したことを報告しました。
 2016年度は、自治体のヒアリングのほかに北見市(ダブルケア)、仙台市(遊び場とお茶会がつなぐ地縁の再生)、名古屋市(0~100歳のまちづくり)、福岡市(こども食堂)で地域人材交流会を開催しました。ヒアリング自治体では、先進自治体になりえた理由が垣間見えるとして、自治体トップの熱意とそれを支える職員の存在、近隣市との合併を選択せず自分たちのまちは自分たちで守る決断を下した事例などが挙げられました。

【パネルディスカッション】「始まっています 子育て世代も地域まるごとケア」
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 パネルディスカッションでは、2015年度、2016年度にヒアリングで訪問した自治体から先進的な取り組みを発表してもらいました。パネリストは、医療法人社団仁泉会西岡医院理事長の西岡敦子さん(香川県高松市)、豊後高田市子育て・健康推進課長の安田祐一さん、NPO法人地域福祉サポートちた代表理事の岡本一美さん(愛知県知多地域)。厚生労働省社会・援護局長の定塚由美子さんがコメンテイタ―、にっぽん子育て応援団企画委員の奥山千鶴子がコーディネーターを務めました。

◎香川県高松市 医療法人社団仁泉会西岡医院理事長 西岡敦子さん
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 西岡さんは、平成13年3月に病児保育、17年に地域子育て支援センター事業をスタートさせるなど母子支援も行っている珍しい小児科だと自己紹介しました。同センターでは、感染症だけではなく、骨折や退院後の子ども、特別なニーズを持つ子どもなども受け入れています。時には大学病院から経過観察が必要な子どもを託されます。緊張感でいっぱいの母親に接して気持ちを解きほぐすような支援役を務めていることが紹介されました。さらに、中学校や県立高校と連携して、赤ちゃんふれあい授業も実施。系列の多機能化した介護老健施設に、親子が集える場の整備を進めるなど、子育て親子や高齢者の交流事業も計画していることが報告されました。

◎大分県豊後高田市 子育て・健康推進課長 安田祐一さん
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 安田さんは、長年、商工分野を歩んできたところが子育て分野に配属となり、地域を巻き込んだ取り組みを進めている事例を報告しました。子育て支援には市長の思い入れが強く、健康交流センター「花いろ」に、子育て中のお母さん方で結成されたNPO法人「アンジュ・ママン」の運営する地域子育て支援拠点「花っこルーム」を整備。そして、子育て関連の行政窓口を集約し、コーディネーターを配置することで、子育て支援はもちろん、就労意欲のあるお母さん方への就業支援も実施するなどワンストップでサービス提供をされているそうです。また、NPOや商工会議所、商店街、企業と連携し、地域全体で子育てを支える仕組みづくりに取り組んでいることも紹介されました。

◎愛知県知多地域 NPO法人地域福祉サポートちた代表理事 岡本一美さん
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 岡本さんは、1990年からの26年間で36団体が誕生し、子どもの誕生から亡くなるまでを通して住民側が生活に必要な事業を自分たちで作り出してきたという取り組みを報告されました。それが、各地に誕生した多様な共生型居場所です。また、東浦町では他職種連携ボランティアの「チームにじ」が「ならしか運動(~しかできない、を、~ならできるに転換)」で各人ができることを分担し支え合う地域づくりを展開していることも紹介されました。「0~100歳の地域包括ケア」を目指し、「セーフティネットではなく、セーフティシートとする」ことを目標としていると述べられました。

◎国の取り組み 厚生労働省社会・援護局長 定塚由美子さん
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 定塚さんは、厚生労働省を中心に進めている「我が事・丸ごと」地域共生社会推進の取り組みについて説明。一人で複合的な課題を抱えていたり、一つの世帯で複合的で複雑な課題を持っているなど、既存の制度ではどこにもあてはまらないケースに対応する必要があり、地域住民も含めて丸ごとつながって我が事として取り組むために、関係する法律改正の準備を進めていることを報告しました。その理念は、1年前に公表された「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」で、社会福祉法を改正し、地域で県や市町村で地域福祉計画を作る際に、我が事・丸ごとの体制整備などを盛り込むよう求めていることなどを説明。それぞれの市町村の行政やNPO、関係者でそれぞれにあった地域包括ケアの仕組みを作るよう期待を寄せました。

◎飛び入りで 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 吉田学さん
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 参加者の一人、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の吉田学さんが感想を発表。当初は医療と介護の間で専門職の連携を意図した地域包括ケアの考え方が、多職種協働、他分野協働で地域の課題に取り組む「まるごとケア」に育ってきていると整理し、子育て広場活動と高齢者などの生活支援サービスが着々と歴史を重ねてここで出会ったことの意義を強調しました。地域のニーズから実際に取り組んでいるところにこそ知恵とパワーがあるとして、国としては実践をつないだり、サポートする役割に尽力する意向を示しました。

 奥山は、いろんな分野の人が出会えるチャンスを作るというのが「我が事・丸ごと」の方向性であり、目指していく先は誰もが地域でその人らしく生きていることができる地域社会ではないか、明日から自分たちの活動にやる気とエッセンスをもらったとまとめました。

【閉会挨拶】にっぽん子育て応援団団長 安藤哲也
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 にっぽん子育て応援団の安藤哲也団長が挨拶。3人の子育てを19年間続け、自分自身も地域で育てられたと感じ、その恩返しとして保育園の父母会長、学童クラブの父母会長、公立学校のPTA会長を務めてきたことを報告し、地域には元気なお母さんたちも数多いが、現役のお父さん世代がいないことを指摘しました。その上で、今後やるべきことは、プレーヤーを増やすことだとして、長時間労働を見直し、そこそこ働いてしっかりと家庭、地域のことも両立できる社会の実現を呼びかけました。

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