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緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。

緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言」を開催しました。

2019/08/20

 にっぽん子ども・子育て応援団は7月13日、東京・一ツ橋の日本教育会館で、緊急フォーラム「今伝えたい!一時預かり事業の現実 未来に向けて緊急政策提言!!」を開きました。一時預かり事業に関する初めての実態調査の報告や厚生労働省による事業説明、実際に一時預かり事業を行っている現場からの実践報告を受け、参加者らでグループワーク。多様なニーズがありながらも厳しい運営にならざるを得ない現状とともに、配慮が必要な親子の増加や虐待の恐れのある子どもの受入れなど現代な深刻な子育て家庭の最前線にあることなども明らかにされ、今後さらに充実が求められることを確認しました。
 にっぽん子ども・子育て応援団ではこれらを提言にまとめ、一時預かりの担当部局である内閣府子ども・子育て本部および厚生労働省子ども家庭局に向けて、一時預かり事業のさらなる拡充を働きかけることにしています。

基調報告

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 厚生労働省の平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業として実施された「一時預かり事業の運営状況等に関する調査」について、担当した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの鈴木陽子・主任研究員が報告。一時預かり事業の事業形態や事業主体、事業規模、職員配置状況などを明らかにしました。平均定員は8人で、利用年齢は1・2歳児が中心、週3日以上利用する定期利用は4割程度で、6割は年間延べ利用者数が300人未満と小規模。職員は保育士が9割で、半数が常勤。事業所の収入から給与総額を引くと、年間延べ利用人数900人未満では赤字になっていることも分かりました。配慮の必要な子や乳児の受け入れなどで人手が取られるために利用を断らざる得ない一方、急なキャンセルなどで職員が余剰となるなど利用者数に応じた職員配置が課題となっていることが挙げられました。このほか、保育者が事務負担を行うことやアレルギー・発達障害への対応、異年齢の合同保育、保育所より低い処遇などが課題に挙げられていました。

行政説明

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 一時預かり事業の推移や現在の補助内容、実態などについて厚生労働省の竹林悟史・前保育課長が説明しました。地域子ども・子育て支援13事業の一つである一時預かり事業は、理由を問わずに家庭での保育が困難な場合に利用できるという点が特徴。実施類型としては、一般型(保育所などで実施されているが場所の縛りはない)、幼稚園型Ⅰ・Ⅱ型(幼稚園を利用している人が利用する預かり保育)、余裕活用型(保育所は年度初めに定員に余裕があり途中から定員まで埋まるので、年度当初の余裕がある場と人を使って行う)、居宅訪問型(障害を持った子どもなどが対象)、地域密着Ⅱ型(保育士の要件を一般型より緩和し、拠点などで実施されている)があります。
 保育所が持っている機能を開放するという形で平成13年ごろから補助制度がスタートし、平成20年の児童福祉法の改正で地域子育て支援拠点事業などとともに法律に位置づけられました。その際、実施主体を保育所以外にも拡大し、特定の子どもを継続的に預かる保育と区別するために「一時預かり」と名称も変更しました。また、拠点では、年齢別の配置基準を満たすことが難しいことから保育士が1人以上を要件とする地域密着Ⅱ型が設けられました。その後、子ども・子育て支援新制度がスタートする前後に類型が見直され、保育所型と保育所以外の地域密着型をと統合して一般型とし、ひろばで実施されている地域密着型Ⅱも一定の役割を果たしているとして残りました。自治体の事業計画では、平成25年度の実績400万人弱から、31年度末には1134万人まで増やすとされていましたが29年度末の実績で495万人程度と、達成は厳しいと見られています。実数が伸びないことなどに国としても問題意識を持っていることが明らかにされました。

実践報告
 友澤ゆみ子・NPO法人ピッピ・親子サポートネット理事長(横浜市)、新澤拓治・NPO法人雲柱社施設長(練馬区)、伊藤千佐子・NPO法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク代表理事(仙台市)の3人が、それぞれの地域における一時預かり事業の実践について実情を報告しました。
 このうち友澤理事長は、単独型の一時預かり事業や認可保育所に併設した一時預かり事業、広場を利用した一時預かり事業などを展開し、全体で延べ利用人数数が4000人に上り、定期利用が多い事業形態とリフレッシュや緊急預かりが多い事業があることに言及しました。配慮の必要な子ども・保護者も増えており、受け入れられる人数は減少傾向、療育センターからの照会もあるなどソーシャルワーク機能が求められるようになっていることにも触れ、保育者側のスキルが必要だとして運営費の増額、保育士確保が課題だと訴えました。
 また新澤施設長は、子ども家庭支援センターにおける一時預かり事業について報告。延べ利用者は1万人程度で、週7日開所しており、練馬区が国の基準を上回る補助を行っており、充足率が9割を超えることなどが明らかにされました。予約や利用料の点から、一時預かりを利用した方がよい人が必ずしも利用できておらず、困難を抱えた人を受け入れらえるよう配慮していることにも触れました。区では当日キャンセルでも補助が行われていることで安心して事業運営できると指摘。一時預かりの保育の専門性について今後、検討する必要があるのではないかと問題提起がなされました。
 最後に、大規模な地域子育て支援拠点で実施される一時預かり事業について伊藤代表理事が報告。保育士3人で9人の子どもを受け入れる体制だが、処遇面などから保育士確保が難しく受け入れ人数は減少、国の補助の加算等が指定管理費用に反映されていないため、職員処遇を引き上げることが難しい点にも言及されました。心臓病など配慮を要する子どもやアレルギー児、虐待を受けたと思われる子どもなどのリスクの高い子の利用も増え、小児科や弁護士とも連携していることが挙げられました。広場に併設されているため、継続的に子どもと保護者をケアすることも可能となっている良さが指摘されました。

グループワーク・シンポジウム

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 参加者が6人程度のグループとなって意見交換。値段設定の難しさや幼児教育・保育の無償化による対象者が増えることへの懸念、配慮の必要な子どもの増加、自治体による対応の差、事務量の多さなどが課題に挙げられました。
 フロアからの問題提起を受けて、登壇者らが発言。「土日も実施するならば人件費もそれだけかかることを踏まえた事業費が必要」「断ることは難しいが、受け入れる場合にはリスクを引き受けることになる。情報量が少ない中、短時間でその子の特性を把握するといった専門性も考えるべきではないか」「一時保育の必要性が理解されない時代から事業を行ってきたが、虐待予防の観点からますます必要になってきている」「リフレッシュと言われるが、一時預かりの実態では厳しい家庭の子どもを預かっている。世間のイメージとのギャップがあるのではないか」「一時預かりを通して、深刻な家庭が多いことを実感する」などの意見が出されました。

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